日大アメフト悪質タックル当該選手が記者会見で語った経緯の内容全て

連日、アメリカンフットボールの定期戦での悪質な反則行為についてのニュースが流れています。

様々な報道が流れ、憶測もある中で、

本日、反則行為を行なった当該選手が顔出し・実名出しで謝罪会見を行いました。

都内の日本記者クラブで会見がありました。

とても広い会場で、多くの報道陣が待ち構えている状況。

以前、大谷選手も同じ会見場で会見を行ったことがあるのですが、

あの会見を超えるくらいの報道陣の数!!

今回謝罪会見を行ったのは、まだ20歳の若者です。

これだけの数の報道陣を前に謝罪会見をするなんて、

そんな経験はこれまでの人生の中で無かっただろうし、

本人もいろいろあって辛い中、本当に勇気ある行動を選択したと思います。

会場に現れた当該選手は、落ち着いた態度をとっていましたが、表情はどこか疲れているようにも見えました。

会見は、一人ではなく関係者(記者・弁護士)などが一緒に登壇し行われました。

最初に担当弁護士が簡単に、この件の一連の経緯を話しました。

そのあとに、当該選手が被害者の関学の選手と家族・関係者に謝罪をしました。

まず、弁護士から

「顔を出さない謝罪はないという本人と本人家族の申し出で、この会見をやると決意した」と説明されました。

また、「反則行為の指示があったことを明らかにするのが会見の趣旨」であると弁護士は述べました。

弁護士から今回の会見の趣旨などの説明があった後、当該選手が事実を語り始めるのですが・・・

本当に正直に事実を話してくださって、聞いているこちらが涙してしまうような内容だったのです。

監督から反則行為の指示があった

監督から、「クォーターバックを潰してこい」という指示があったそうです。

報道でも、「潰してこい」という言葉が出ていましたが、これは事実でした。

また、「指示があったということを報道で出してほしい」と当該選手は監督に伝えていたそうです。

このような指示があり、当該選手は精神的に追い詰められ、あの悪質タックルを行ってしまうのですが、この問題は、大会当日に始まったことではなかったのです。

2018年5月6日(日)に悪質タックル事件が起こるのですが、

その前から、日大前監督やコーチ陣は当該選手を精神的に追い詰めるような言葉をかけていた事実が、当該選手の説明により発覚しました。

当該選手の会見から、一連の流れをまとめます。

最初に当該選手から謝罪の言葉がありました。

「まず最初に、本件により怪我をさせてしまった、関西学院大学のアメリカンフットボール部のクォーターバックの選手、およびそのご家族、関西学院アメリカンフットボール部とその関係者の皆さまに対し、大きな被害と多大なるご迷惑をおかけしたことを深く反省しております。本当に申し訳ありませんでした。」

次に、当該選手の口から、

「試合の日までに至った経緯について、試合の3日前から説明させていただきます。」

ということで、2018年5月3日(木)から6日(日)までの経緯の説明が始まりました。

以下、当該選手が読み上げた陳述書の内容です。一部、アメフト用語が出てくる箇所があるので補足を入れています。

陳述書の内容

試合の日までに至った経緯について、試合の3日前の5月3日から話させていただきます。

今年度の試合は、本件までに4月22日、4月29日の2回行われています。そのいずれについても私はスターティングメンバーで出場しました。

5月3日(木)

5月3日の実践形式の練習で、「プレイが悪かった」ということで、コーチから練習を外されました。これまで同じようなことはありませんでしたが、この頃は監督・コーチから「やる気が足りない」「闘志が足りない」という指摘を受けるようになっていたので、このプレーをきっかけに外されたのだと思います。

その後、全体のハドルの中で監督から、「○○(当該選手)なんかはやる気があるのかないのか分からないのそういう奴は試合に出さない。辞めていい。」と言われました。

ハドル
アメフトでプレイの開始前にフィールド上の選手たちが集まって情報交換と次のプレイを決めること。

井上コーチからは、「お前が変わらない限り、練習にも試合にも出さない。」と言われました。

5月4日(金)

5月4日。練習前に、監督から「日本代表に行っちゃダメだよ」と、当時選抜されていた、今年6月に中国で開催される第3回アメリカンフットボール大学世界選手権大会の日本代表を辞退するように言われました。監督に理由を確認することはとても出来ず、「わかりました」と答えました。

この日は、今年度初めて全体で行うディフェンスインディーの日でした。未経験の一年生がいたので副キャプテンがタックルをして、私が受ける形でメニューをやって見せるために私がダミーを持ちました。

するとコーチから、「なぜ最初にダミーを持つんだ」と言われてグランドを10周走らされました。

その日の実践練習は、練習前に井上コーチに確認したところ、「宮川は出さない」と言われて外されました。

5月5日(土)

5月5日。この日も実践練習を外されていました。

練習後、井上コーチから、「監督にお前をどうしたら試合に出せるか聞いたら、

『相手のクォーターバックを1プレイ目で潰せば出してやる』と言われた。

『クォーターバックを潰しに行くんで、僕を使ってください』と言いに行け」と言われました。

続けて、井上コーチから、

「相手のクォーターバックと知り合いなのか。関学との定期戦がなくなってもいいだろう。相手のクォーターバックが怪我をして秋の試合に出られなかったら、こっちの得だろう。これは本当にやらなくてはいけないぞ」と念押され、「髪型を坊主にしてこい」と指示されました。

ポジションの先輩から、「井上コーチに『宮川にアラインはどこでもいいから、1プレイ目からクォーターバックを潰せ』と言っとけ」と言われた旨を告げられました。「相手を潰すくらいの強い気持ちでやってこい」という意味ではなく、本当にやらなくてはいけないのだと思い、追い詰められて悩みました。

5月6日(日)

5月6日。色々悩みましたが、これからの大学のフットボールにおいて、「ここでやらなければあとがない」と思って、試合会場に向かいました。試合のメンバー表に私の名前はありませんでした。

その後の試合前のポジション練習時に、井上コーチに確認したところ、「いま言ってこい」と言われたので、私は監督に対して直接「相手のクォーターバックを潰しにいくんで使ってください」と伝えました。監督からは、「やらなきゃ意味ないよ」と言われました。

戻った私は、井上コーチに監督と話をしたこと、監督から「やらなきゃ意味ないよ」と言われたことを伝え、さらに井上コーチに対して、「リードをしないでクォーターバックに突っ込みますよ」と確認しました。

井上コーチからは、「思いっきり行って来い」と言われました。このことは同じポジションの人間は聞いていたと思います。

そのあと、試合前の整列の時に井上コーチが近づいてきて、「『できませんでした』じゃ済まされないぞ、わかってるな」と念を押されました。本件直後は何も考えられない状態でした。そのため、相手のクォーターバックが怪我をして代わったことにも気づいていませんでした。

普段の試合でこんなことはありえません。

本件で問題になっている1プレイ目の反則行為のあと、2プレイ目が終わり、コーチに呼ばれてサイドラインに戻った時に、井上コーチから「キャリアに行け」と言われましたが、散々「クォーターバックを潰せ」と指示されていたので、井上コーチの発言の意味が理解できず、再びパスをしてボールを持っていない状態の相手チームのクォーターバックにタックルをして倒し、2回目の反則を取られました。

3回目の反則は、相手に引っ張られて尻餅をついたあと、相手のオフェンスの方に行こうとした際に、正面から向かってきた相手選手をついた行為に対して取られました。

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この反則は、普段から「相手が掴んできても大人しすぎる」などとコーチから指摘されていましたし、「やる気がない」として外されていたので、向かってきた相手選手にやられっぱなしにできないと思って、意識的に行った行為でした。

退場になり、テントに戻ったあと、事の重大さに気づき泣いていたところ、井上コーチに見られていました。

試合後、スタメンと4年生が集められたハドルの時に、監督から「こいつのは自分がやらせた。こいつが成長してくれるんならそれでいい。相手のことを考える必要はない」という話がありました。そのあと着替えて全員が集まるハドルでも、監督から「周りに聞かれたら、俺がやらせたんだと言え」という話がありました。

井上コーチからは、私が退場になったあと、DLの上級生リーダーが、私に相手クォーターバックに怪我をさせる役割をさせたことをすまなく思って、「自分にもやらせてほしい」と申し出たという話を紹介して、「その上級生は、自分にもやらせてくれと言ったぞ。お前にそれが言えるのか。お前のそういうところが足りないと言っているんだ」と言われ、退場後に泣いていたところについても、「優しすぎるところがダメなんだ。相手に悪いと思ったんやろ」と責められました。

5月8日(火)

5月8日。井上コーチから午後5時頃に、グランドに呼び出されました。私がグラウンドのクラブハウスで待っていると先輩が来て、私の様子を心配してくれました。先輩に「もうアメフトはできない」と伝えると、先輩も「そうだよな」と応じてくれました。

そのあと学生のスタッフが来て、監督が待っているコーチ部屋に行くように言われました。当初コーチ部屋には監督1人でした。私と監督が話し始めると、遅れて井上コーチと鈴木コーチが来て、監督との話を聞いていました。

私が監督に対し、「もうフットボールはできない」と言うと、監督は「お前の罰は、あの時バッタイになって退場になって、お前の処罰は終わっているんだからいい。世間は監督を叩きたいだけで、お前じゃない、気にするな」と言われました。そのあと監督は練習に出て行ったので、井上コーチと鈴木コーチの3人で話をしました。

当然2人のコーチからは事実関係の確認はなく、「お前が辞める必要はないだろう。向こうとの試合がなくなろうと別にいいだろう」というような話をして、退部を申し出た私を引き止めようとしてきました。

しかし、私としては、あんなプレーをしてアメフトを続けることはとても考えられませんでした。

5月9日(水)

5月9日。森ヘッドコーチから三軒茶屋のキャンパスに呼び出されて、「辞めるべきじゃない。フットボールで返していくしかない。監督が厳しく言ったことをそのままお前に伝えたコーチに責任がある」と言われました。

5月11日(金)

5月11日、前日の謝罪文公表を受けて、こちらから井上コーチに連絡をして、本部にある監督の部屋で、監督と井上コーチ、私と両親で面会しました。

父から、「個人的にでも相手方選手と家族に謝りに行きたい」と申し出たところ、監督からは「今はやめてほしい」と言われました。

父から、監督・コーチから選手に対して対戦校のクォーターバックに「怪我を負わせろ」と指示を出し、選手はそれに従っただけである旨の公表を求め、そのメモを先方に渡しましたが、「公表できない」と断られました。

面会のあと、井上コーチから父に連絡があり、理由の説明もなく、「関学アメフト部の監督に謝りに行く」と言われました。父がアポイントを取ってほしい旨を求め、アポイントを取ろうとしたようですが、先方から断られたと連絡がありました。

しかし、夜中に再度井上コーチから父に連絡があり、「謝りに行く。息子さんを行かせてください」と言われて、関西学院大学に行くことになりました。

5月12日(土)

5月12日、謝罪のために私と井上コーチで関西学院大学を訪れましたが、再度先方から面会を断られたため、関学アメフト部の監督にお会いすることはできませんでした。

5月14日(月)

5月14日、井上コーチから父に連絡があり、三軒茶屋のキャンパスに来てほしいと呼び出され、父と2人で訪問しました。その日は、そのあと私と父が、関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会で聞き取り調査を受けました。

5月16日(水)

5月16日、私は日本大学本部の体育局にチームの幹部とともに呼ばれましたが、先方はどう出てくるかわからない不安が強く、体調も良くなかったため、私は行きませんでした。

5月18日(金)

5月18日に、私と父で関学アメフト部クォーターバックの選手およびご両親を訪問し、直接謝罪の意を伝えました。

最後に、本件は、たとえ監督やコーチに指示されたとしても、私自身がやらないという判断ができずに、指示に従って反則行為をしてしまったことが原因であり、その結果、相手選手に卑劣な行為で怪我を追わせてしまったことについて、退場になったあとから今まで、思い悩み反省してきました。

そして、真実を明らかにすることが償いの第一歩だと決意して、この陳述書を書きました。相手選手、そのご家族、関西学院大学アメリカンフットボール部はもちろん、私の行為によって大きなご迷惑をおかけした関係者の皆様に、改めて深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。

質疑応答で印象的だったもの

Q:監督やコーチに伝えたいことはありますか?

A:いくら監督・コーチからの指示があったとはいえ、僕がやってしまったことなのでとても反省しています。なので監督・コーチに対して僕がどうこう言うことではないのかなと思っています。

Q:アメリカンフットボールとはどのような存在ですか?

A:高校からアメリカンフットボールを始めて、コンタクトスポーツを初めてやるということもあって、とても楽しいスポーツだなぁと熱中していました。ただ、大学に入って厳しい環境で、徐々に気持ちが変わってしまった部分もあります。

Q:どのように変わった?

A:好きだったアメリカンフットボールがあまり好きではなくなってしまったという部分もあります。

Q:どうして?

A:厳しい環境に身を置くことになってしまったので、一概に何が原因かはわからないですけれど、徐々に好きではなくなってしまったのかなぁと思います。

Q:今後どのように過ごしていくことが望ましい?

A:今後、僕がアメリカンフットボールを続けていく権利はないと思っていますし、この先、アメリカンフットボールをやるつもりもありません。なので今のところ何をしていくべきなのかも分からない状態です。

おしまいに

当該選手は、会見の最初から最後まで、落ち着いていました。

淡々と、ただただ事実を語りました。

まだ20歳の青年が、これだけ世間が大騒ぎして自分に注目している中で

一度も涙を見せず、しっかりとした態度で受け答えをしている様子は、

素直に心打たれるものがありました。

しかも、かつて大好きだったアメリカンフットボールをもうやるつもりはないと断言して。

若くて未来のある青年がこんなことを言わなきゃいけないなんて、悲しすぎますよね。

当該選手は、質疑応答の中で、

「好きだったアメリカンフットボールがあまり好きではなくなってしまった」

と発言していましたが、果たして本当にそうなのでしょうか。

今の本人の気持ちとしては、本当かもしれません。でも少しだけ「そうかな?」と思いました。

個人的には、アメフト自体を嫌いになったのではなく、

「上からの圧力や理不尽に耐えながら不本意なプレイをしなければならない環境が嫌になった」

のではないかなぁと思います。

確かに、体育会系の部活で伝統のある強豪校となれば、「体質」というものが少なからずあるとは思いますが。

しかし、日本代表に選ばれるような大切な若い選手の未来を、指導者の理不尽な指示でつぶすようなことがあってはならない。

当該選手も言っていますが、反則行為をしたのは当該選手が行動したからで、許される行為ではありません。

ただ、背景には圧倒的な圧力があり、自分の意思ではなかったのも事実。

ひとまず、この当該選手に「本当にお疲れ様でした。」という気持ちです。

1日も早く、当該選手や家族に穏やかな毎日が戻りますように。

この青年が今後どのような道を選択するにしろ、応援しています。

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