クリスマスローズは丈夫な植物といわれますが、管理や気候などによっていろいろな病気や害虫が発生することがあります。
今回は、クリスマスローズの病気や害虫対策にオススメの薬剤を紹介します。
クリスマスローズの病気や害虫について
クリスマスローズの病気には、大きく2つの種類があります。1つめは、伝染性のもの。2つめは、非伝染性のものです。伝染性の病気は、糸状菌(カビ)、細菌(バクテリア)、ウイルスが病原です。非伝染性の病気は、生理障害によるものです。栄養分、日光、水分の過不足や、温度が適正ではないなどが原因となって起こります。
一方、害虫は、そしゃく性害虫と吸汁性害虫に大別されます。要は、食べるか吸うかです。特に、吸汁性害虫はブラックデスなどのウイルス病を媒介すると考えられるため、予防が大切です。ちなみに、ブラックデスとは、ウイルスが原因の病気で、感染すると完治はないと言われている恐ろしい病気です。「ブラックデス」なんて、名前からして恐ろしいですよね。
病害虫の予防は、クリスマスローズに適した環境で健全に育てることが大切になります。ただし、日本の気候や住環境では、ある程度の防除や駆除が必要です。
薬剤の取り扱い
病害虫の防除に用いる薬剤には、殺菌剤と殺虫剤があります。殺菌剤は病気の予防や治療を、殺虫剤は害虫の防除を行うものです。病害虫の種類に応じた適切な製品を選び、説明書をよく読んで、取り扱い方法を遵守しましょう。
使用に際しては、以下のことを守りましょう。
1 対象とする植物、使用頻度、時期、使用量、効果、保管方法などをあらかじめ確認する。
2 近隣の迷惑にならないように注意する。
3 病害虫に抵抗力をつけないように異なった薬剤を交互に使用する。
4 希釈が必要な乳剤、水和剤などは希釈倍率を守り、正確に計量して使用する。(植物に薬害が生じるほか、人体に悪影響がある)
5 混用してはいけない組み合わせ(ダコニールとマシン油乳剤など)があるので注意する。
保管する際は、中ブタとキャップをしっかり閉め、子どもの手の届かない、火気のない乾燥した冷暗所で管理しましょう。
クリスマスローズの栽培で使用する主な薬剤
殺菌剤系
◆ダコニール◆
灰色かび病など糸状菌による病気に有効。長期間病気から植物を守る残効性にすぐれ、薬害もほとんどありません。
◆ボトキラー◆
ダコニールと交互に散布し、耐性ができないようにする。微生物資材なので散布回数も無制限であり薬害などもなくつかえます。ただし化学農薬のような劇的効果は期待できないので予防用として使うべき資材です。
◆リゾレックス◆
立ち枯れ病などに有効。病原菌の運動機能や細胞分裂の制御機能に影響を与えて殺菌効果を発揮すると考えられています。
◆ストレプトマイシン◆
「ヤシマストマイ液剤20」という名前ですが、ストレプトマイシンを主成分とした殺菌剤です。細菌によって起こる各種の病害にすぐれた防除効果をあらわします。
殺虫剤系
◆アドマイヤー◆
アブラムシやスリップスを防ぎ、ブラックデスを予防する。
◆オルトラン◆
アドマイヤーと交互に散布し、耐性ができないようにする。
無農薬栽培・減農薬栽培をするには
農薬には、微量とはいえ有害な物質が含まれています。そのため、薬剤の使用を躊躇する方もいるかと思います。
無農薬で栽培したい場合は、できるだけ栽培数を限定し、目の行き届く範囲で管理しましょう。
病気は、株の体力の低下により発生することが多いので、健全な株作りを心がけます。こまめに見回って病気の葉や枯れた葉、花がらを取り除きます。害虫を発見したら、割り箸やピンセットで取り除きます。きめ細やかなお手入れが必要です。
無農薬栽培は理想ですが、植物を栽培する場合、薬剤に頼らざるを得ない部分があります。病害虫や農薬の仕組みを理解し、早期発見、早期治療、定期的な薬剤散布が、結果として薬剤の使用を抑制し、植物を健全に育て、良い花を得ることになります。